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一貫性理論「人は一貫した、安定した状態が好きだ!」

心理学では、人は「一貫した、安定した状態」を好み、そのような「一貫した、安定した状態」になるように行動するという考え方があります。これを一貫性理論(consistency theory)といいます。一貫性理論はとても古い考え方で、たくさんの研究が発表されてきました。

一貫性理論の考え方を簡単に説明してみましょう。

ピーマン嫌いの人の事例(1)


たとえば、「ピーマンが嫌いな人」は、たぶん、ピーマンが入っている「ピーマンの肉詰め」も嫌いでしょう(推論)。

ピーマンの肉詰めは、疑念をさしはさむ余地がないほど、「ピーマン度100%」です。

ですから、「ピーマンに対する態度」=「ピーマンの肉詰めに対する態度」=「嫌い」という一貫性が成り立ちます。

この状態は一貫していますし、安定しています。「ピーマン嫌い」の世界観が徹底されています。

ピーマン嫌いの事例(2)


しかし、この一貫・安定した状態がもし崩れたとしたら、どうでしょうか。

実はピーマンを巧みに紛れ込ませた「パエリア」を食べ、その人が「とんでもなく、おいしい」と感じたとしましょう。

シェフから「実はピーマンが入っているよ」と伝えられた時の驚きと戸惑いは、極めて大きいでしょう。

なぜなら、「ピーマンは嫌い」という一貫・安定した世界観が、この「パエリア」によって脅かされているからです。
「ピーマンに対する態度」×「パエリアに対する態度」=「嫌い×好き」という不安定な状態が成り立ちます。

「ピーマンは嫌い」なのに、「ピーマンが入っているパエリアはおいしい」という一貫性を欠いた、不安定な状態になってしまったからです。

一貫性理論によると、このような一貫していない、不安定な状態は、その人に不快感をもたらすため、態度を変化させることで、一貫性を回復しようと試みると考えます。

一貫性のある状態にするには


簡単に言うと、一貫性のある状態にするために、
(1)「ピーマン嫌い」を放棄して、「ピーマンが好き」=「パエリアが好き」という一貫・安定した状態にする(これを「態度の変容」といいます)

(2)「パエリアがおいしい」を放棄して、「ピーマンが嫌い」=「パエリアが嫌い」という一貫・安定した状態にする(これを「態度変容への抵抗」といいます)
という2つの態度のどちらかを選択するということです。

このような「一貫性理論」に基づいた有名な理論が2つあります。一つは、「バランス理論」と呼ばれ、もう一つは「認知的不協和理論」といいます。