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ポジティブ感情で問題解決力アップ

感情は人間の行動に様々な影響を及ぼすことはよく知られていると思います。仕事で失敗した後の食事はおいしくないでしょうし、楽しい思いをした後には人にやさしくしたりすることがあるでしょう。このように考えると、スタッフ一人一人の感情は職場の生産性にも大きな影響を与えるものだといえるでしょう。日常の些細なうれしいこと、いい気分(ムード)、いい感じ(フィーリング)といったポジティブな感情が仕事や問題解決にどのように影響するのか、Isenという研究者が数多くの研究成果を残してきました。

Isenによると、ポジティブな気分は、「認知的柔軟性」を高め、「創造的思考」を促進すると指摘しています。

ポジティブな気分のとき、どうなるのか?


ポジティブな気分のときは、以下のような効果が指摘されています。
(1)認知的精緻化が促される
(2)複数の認知的視点をとることが可能になる
(3)認知的柔軟性が高められる
(4)豊かな認知的文脈が構成される
(5)対象を新しい方法で結びつけたり、無関連に見える刺激間の関連性に気づく
(6)柔軟で受容的な思考が促進される。それは創造的であるだけでなく、努力を要する、効果的で広い見通しをもっており、問題や文脈の細部にまで鋭敏である
(7)アイディアをさまざまな方法で体制化し、複数の異なる認知的視点にアクセスすることができる
(8)概念や刺激が持っている複数の側面を知覚し,複数の認知的視点をとることができる
(9)創造的あるいは創発的(innovative)な反応を促進する。こうした反応には認知的柔軟性や,アイディアを新たな方法でまとめる能力が関わっている
(10)ポジティブな気分は認知的素材の体制化―アイディアがいかに関連づけられるかに影響する。こうした気分は、豊かな文脈の中でニュートラルあるいはポジティブな材料に対する精緻化を高め、思考の柔軟性を高める

まとめると、物事を多面的にとらえ、より注意深く認識できるということや、骨の折れるような課題でも受け入れ、努力するということ、さらに、創造的に物事を関係づけたり、発送したりできるということです。

会社がほしがる新入社員のように(一時的に)なれるという効果があるのです。


ポジティブな気分と関係が深いものとして、「ドーパミン」があります。このドーパミンは神経心理学では「脳の報酬系や情動と関わっており、構えや注意の方向との関連」も指摘されています。そのため、ポジティブな気分の下ではドーパミンのレベルが上昇し、注意の方向や視点の選択を柔軟に変えることが可能になり、それが種々の認知課題の遂行を促進するのではないか」と言われています。